自民党総裁3選を果たした安倍晋三首相は10月27日、2度目の政権で在任5年10カ月を超えた。24日に開幕した臨時国会の所信表明演説では、国土強靱化、農林水産新時代、全世代型社会保障改革、外国人材受け入れ拡大、戦後日本外交の総決算、憲法改正などに取り組む方針を示した。焦点となるのは、外国人材受け入れに関係する入国管理法改正案と自民党の改憲案の国会提示だ。
「在任中の改憲実現」を強く意識する首相は、5年10カ月も政権を担いながら、いまだ国会での自民党改憲案提示すらできていない現状に不満と焦りを募らせているようだ。30日の国会答弁でも「政党が具体的な改正案を示せば幅広い合意が得られる」と述べ、各党に改憲案提示と審議促進を訴えた。
一方、総裁選挙後の党人事で、改憲に取り組む自民党の中心メンバーを一新した。党憲法改正推進本部の本部長は、9月まで首相の出身派閥の長で先輩格の細田博之氏(元幹事長)だったが、側近の下村博文氏(元文部科学相)に代えた。衆議院の憲法審査会も、会長の森英介氏(元法相)は続投だが、野党との交渉を担う自民党の筆頭幹事には首相に近い新藤義孝氏(元総務相)を起用した。
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