7兆円という日本の産業史上最大の買収に挑む武田薬品工業。背景にあるのは、国内最大手でも新薬を生み出せなければ没落するという危機感だ。グローバルでの生存競争が繰り広げられる中、日本企業を驚嘆させた“タケダショック”は新たな再編の呼び水になる。
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浮かび上がる財務リスク 7兆円買収の前途多難
「なぜシャイアー社の買収を検討するのでしょうか?それは、シャイアー社の買収は当社の変革を加速させるものだからです」。武田薬品工業は6月28日の定時株主総会を前に、世界中の25万を超す株主へクリストフ・ウェバー社長CEO(最高経営責任者)からの「社長レター」を送ったことを6月2日に公表した。
武田は5月にアイルランドに本社を置く製薬大手シャイアーを買収することで基本合意している。金額は国内のM&A(企業の合併・買収)史上最高の6.8兆円。成功した暁には、売上高は3.4兆円となり、世界トップ10のメガファーマ(巨大製薬会社)の仲間入りを果たす。
武田にとって株主総会は鬼門だ。2014年にはウェバー氏の社長就任をめぐってOBなど一部株主が反対する趣旨の質問状を提出。昨年は長谷川閑史(やすちか)前会長の相談役就任に反対するため、相談役や顧問を廃止する株主提案がなされた。今年も大型買収に当たって取締役の権限に一定の制限を設ける株主提案がすでに行われている。
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