シャイアー買収で規模の拡大を急ぐ武田薬品工業とは正反対の生き方で成長し続けている企業がある。塩野義製薬だ。
前2018年3月期の売上高は3446億円と武田の5分の1。だが儲ける力を示す売上高営業利益率は33%と業界断トツの水準で、世界大手をも凌駕する。
成長の牽引役はHIV(エイズウイルス)感染症治療薬の「トリーメク」「テビケイ」だ。海外での販売は英大手グラクソ・スミスクライン(GSK)に任せる。GSKの販売高に応じてロイヤルティ収入が得られるうえ、自前で販売するコストがかからないため、利益率が高くなるのだ。
英アストラゼネカとロイヤルティ契約を結ぶ高コレステロール血症薬「クレストール」も含めた前期のロイヤルティ収入は売上高の5割近くを占める。
薬価改定などで国内の事業環境が悪化する中、塩野義は海外からのロイヤルティ収入をテコに今期も最高益の更新を見込む。
塩野義のすごさはそれだけではない。次の主役も誕生している。今年3月に発売したインフルエンザ治療薬「ゾフルーザ」だ。ウイルスの細胞内増殖を抑制し、症状を緩和する。従来の治療薬は1日に複数回、数日間服用する必要があるが、ゾフルーザは1錠を1回だけ服用すればよい。
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