「ライバルとも手は組む 変身しないと明日はない」
トヨタ自動車で一連のアライアンスや電動化戦略を進めてきた司令塔が寺師茂樹副社長だ。1月から先進技術開発カンパニーのプレジデントとして現場の指揮を執る寺師氏を直撃した。
──経営企画から実働の先進技術担当トップに移った心境は。
豊田章男社長からは「これまで段取りしてきた分、現場に行ってちゃんと水と栄養をやって花を咲かせてくれ」と言われている。
技術開発の現場に戻るのは9年ぶりでリハビリ中だ。エンジニアを三十数年やってきたので個々の技術概略はわかるが、根っこの難しさは昔と比べてものすごく深い。これを今、一生懸命解きほぐして自分の頭の中に植え付けようとしている。
──トヨタは今年、「スピードとオープン」がキーワードです。
オープンはアライアンスで、比較的わかりやすい。課題はスピードだ。ほっといたら自分の部門の技術ばかり大事にする。重要なのは、世の中に新しい技術を出すというゴールに早く行くために、何を優先し、何を我慢するかだ。たとえば、ゴールが50キロメートル先なら、できるだけ早く到達するためにスピードを上げればいいと信じていた。だが、50キロメートルを30キロメートルに短縮すれば、到達時間は短くできる。
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