有料会員限定

創業家社長の覚悟と危機感 海図なき戦いの行方

✎ 1〜 ✎ 8 ✎ 9 ✎ 10 ✎ 最新
著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

有料会員限定記事の印刷ページの表示は、有料会員登録が必要です。

はこちら

はこちら

縮小
今年1月のCESでは、祖父で創業者の豊田喜一郎氏、名誉会長の章一郎氏を並べてスピーチをした

特集「トヨタ 生存の条件」の他の記事を読む

「私は豊田家出身の3代目社長です。世間では苦労を知らない3代目が会社を潰すといわれています」──。

ほんの一瞬、間を置いてからこう続けた。「そうならないようにしたいと思っています」。

今年1月、米国ラスベガスで開かれた世界最大のエレクトロニクスショー(CES)で、豊田章男社長は近年得意としているフレーズで会場を和ませた(上写真)。

社長に就いた2009年、トヨタ自動車は危機に瀕していた。前年のリーマンショックをきっかけに販売が急落。資金繰りは綱渡りを強いられ、最終損益は前年の1兆7178億円の最高益から一転、4369億円の赤字へと滑落した。

社長就任会見で「トヨタ丸は嵐の中の海図なき航海に出た」と語ったが、嵐は一向にやまなかった。10年は米国でのリコール問題、11年は東日本大震災やタイの洪水でサプライチェーンが寸断され、超円高にも見舞われた。12年には中国で反日運動が激化し販売店に放火された。相次ぐ危機対応で「社長としてやりたいことができない悔しい思いをしてきた」。

関連記事
トピックボードAD