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電動化の大波で実力試されるケイレツ 岐路を迎えた鉄の結束

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デンソーは昨年の東京モーターショーで自社製品75点を実物大で展示した(撮影:鈴木紳平)

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「テスラの『モデルS』を昨年末に中古で購入した。やはりEV(電気自動車)は加速が違う。分解して調べたい」──。

トヨタ自動車系列で特殊鋼大手の愛知製鋼の首脳はそう話す。トヨタが昨年秋以降に矢継ぎ早にEV関連の戦略を発表したことを受け、急きょEVを購入したという。

愛知製鋼は昨年4月から3カンパニー制に移行。主力である特殊鋼、鍛造品の各カンパニーほか、スマートカンパニーでEVのモーターに使う高性能磁石などの事業化を急いでいる。同社幹部は「これまでEVは手薄だった」と認めたうえで、「EVがどのようなものかを知ることから始めている。今後はトヨタのEV開発に貢献していくのが使命」と断言する。

同社は、トヨタグループの祖である豊田自動織機が自動車事業を始める際に設立した製鋼部が源流だ。これまで内燃機関向けの特殊鋼を多く手掛けてきた同社の変身ぶりは、トヨタ系サプライヤーの危機意識を如実に表すものだ。

大手も危機感募らす 豊田通商は大型の出資

背景は、EV化が車の構造を大きく変え、これまでの積み重ねがリセットされかねないことだ。多くのサプライヤーがかかわり、精巧な部品の組み合わせであるエンジンが消え、テレビやパソコンなどの家電製品のようにコモディティ化(汎用品化)が進むとの見方が少なくない。経済産業省などは、約3万点ある自動車部品の約4割に当たる約1万1000点がEV化で不要になると試算している。トヨタで調達を担当する西村祐常務役員は「サプライヤーも電動化時代に合わせて競争力を改善しないと生き残れない」と話す。

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