教育・科学技術政策通として知られ、現在の競争的資金重視政策の生みの親でもある財務省主計局次長・神田眞人氏に聞いた。
──日本の研究力低下をどう認識していますか。
論文の被引用度の下落に強い危機感を有している。ただ、日本の科学技術関係予算は対GDP比0.71%と主要先進国と遜色はなく、リソースのせいではない。政府から大学への研究開発費は、日本は1.8兆円とドイツの1.6兆円より多いのに、高被引用論文(トップ10%論文)数はドイツの6割にも満たず、生産性が低いことが問題だ。
この原因として、大学の封建的、閉鎖的な体質がある。日本の大学は講座、領域、学部、大学、研究所、企業、国境で壁があり、著しく流動性を欠いていることが大きい。そのためオープンイノベーション、学際研究、グローバル研究の時代に不利となり、また非競争的環境の中で、活力を喪失するモラルハザードが生じている。国際交流、国際共著論文が弱いので論文被引用が劣り、産業界との連携の度合いや国際性が低いことも、大学ランキングを下げている。
──運営費交付金の削減が原因との声があります。
減少の多くは附属病院の赤字解消や退職手当減といった特殊要因で、実質的にはあまり減少していない。一方で補助金は増えており、結果、国立大学の研究費は法人化以降、1000億円増の3300億円に著増している。
交付金への依存は日本だけ
運営費交付金にこれほど依存しているのは日本だけだ。海外の国公立大の事業収入に占める運営費交付金の割合は、英オックスフォード大学15%、米カリフォルニア大学26%なのに対し、日本は東京大学ですら41%もある。魅力があるため、研究受託収入から学納金、寄付金まで多様な財源を擁するのが世界の強い大学の常識である。
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