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ポスト不足とアカハラが研究不正を常態化 なぜ後を絶たないのか

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所属研究者の不正が発覚し謝罪する、京都大学iPS細胞研究所の山中伸弥所長(読売新聞/アフロ)

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「論文に改ざん・捏造があった」。1月22日夜、京都大学iPS細胞研究所(CiRA〈サイラ〉)はそう発表し、山中伸弥所長が深々と頭を下げて謝罪した。

論文の著者は同研究所の36歳の特定拠点助教。有期雇用で雇用期限は3月だった。「背景に焦りがあった」とする見方もある。

「相手は生き物」が研究不正の温床か?

CiRAには研究の倫理的課題に取り組む部門があり、研究不正を未然に防ぐための実験ノートチェックなども行われてきている。それでも、事件は起こった。

下図は1977〜2012年の35年間に発覚した日本の研究不正114件を分野ごとに分類し、比率を示したものだ。ライフサイエンスに該当する「医・歯・薬学」の35件、「農・獣医学」「生物学」の各4件を合計すると43件となり、全体の約40%になる。研究不正でライフサイエンスが目立つのは気のせいではない。もっとも、研究者人口も約40%と多く、研究者1人当たりの研究不正件数が特に多いわけではない。

ライフサイエンスの研究対象は生体や細胞、「生き物」だ。そのため、どうしても再現性は低くなり不正を働く余地が生まれるといわれる。実験を伴う研究では「再現性」が妥当性を担保すると考えられてきたからだ。

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