日本の科学研究は過去十数年間で量、質ともに競争力を急激に落とした(記事下図表1)。
科学論文数の世界シェアの順位は、主要先進国で日本だけが下落している。英米もドイツもフランスも、シェアは大して変わっていない。鈴鹿医療科学大学の豊田長康学長の分析によれば、生産年齢人口で除した1人当たり論文数でも、他国に比べて日本だけが低迷している。
東京大学、京都大学の両雄ですら研究不正が続発し、「今後はもうノーベル賞が取れない」と受賞研究者たちが嘆く背後で何が起こっているのか。パート1では日本の科学研究の地盤沈下の裏側と、復活の処方箋を探る。
「競争原理」の導入後、中間層の大学が零落
次記事以降の本論に入る前に、統計からいえる事実を確認しておきたい。まず、今日の研究力劣化の中心にあるのは国立大学だ。日本の科学研究論文の5割を国立大学が占める。そして国立大学の論文数が最も多く減っている。10年前比で約2600本の減少となっている(記事下図表2)。
その転換点は2000年代前半にあった。この時期は国立大学にとって激変期だった。04年、国立大学は独立行政法人となり、「競争原理」の導入へと大きく舵を切った。具体的には、国は国立大学へ定期配分する基盤的予算(運営費交付金)を年々削減、研究者は公募・審査を通じた官民の競争的資金制度でおカネを調達する形へと移行した。
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