トランプ大統領を生み出したポピュリズムが保守思想に転換を迫る。「小さな政府」の原則を超え、社会の分断に対処することが求められる。
「自由」を核としてきた米国の保守主義の理念は、これからどうなるのか──。
正月早々に畏友の思想史家ジョージ・ナッシュからメールで送られてきたエッセーを読みながら、あらためて考えている。エッセーは保守系の高級論壇誌『ニュークライテリオン』新年号に掲載された。ポピュリズム問題の特集に寄せたエッセーで、「保守主義者はいかにしてポピュリズムの挑戦に対応すべきか」と題されている。
72歳になるナッシュは戦後米国保守思想史研究の第一人者だ。主著『1945年以降の米国保守思想運動』(初版76年)は2回の増補改訂を経て、保守思想理解の必読書となっている。60年代に創設された保守知識人団体フィラデルフィア・ソサエティの会長を務めたこともあり、保守思想界の重鎮らに広い人脈がある。
そのナッシュとは15年前に知り合い、近年はメールや電話で頻繁にやり取りしている。一昨年の大統領予備選挙でトランプが共和党大統領候補となる可能性が高まった頃から、米国の保守思想はどうなるのか議論してきた。
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