フランス大統領選挙で親欧州派のマクロン大統領が誕生し、排外主義やポピュリズム台頭の流れを断ち切ったとされる欧州。だが、政治不安は今も水面下で渦巻いている。
ドイツでは2017年10月の連邦議会選挙後の連立協議が決裂。再選挙や非多数派政権を回避するため、2大政党による大連立の復活が模索されている。
今回の選挙では、移民の受け入れに反対する極右政党が初めて議席を獲得し、2大政党の支持は第2次世界大戦後で最低にとどまった。難民危機を契機にドイツの有権者に変化が現れており、2大政党の接近で空いた政策空間を、極右と極左が奪っている。これまで数々の危機を救い、欧州安定の要とされるメルケル首相だが、国民からは「メルケル疲れ」の声も聞かれ始めた。
18年3月に総選挙の実施が有力視されているイタリアでは、各種の世論調査で反体制派のポピュリズム政党・五つ星運動がリードを広げている。他党との連立に否定的な同党の政権奪取は困難との見方が支配的な一方、ベルルスコーニ元首相を中心とした右派勢力、与党・民主党を中心とした左派勢力も、政権発足に必要な過半数の議席獲得は難しい情勢だ。選挙後は右派・左派総結集による挙国一致内閣が誕生する可能性は高いが、両勢力の掲げる政策からは、構造改革に積極的に取り組む機運は感じられない。
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