「インド太平洋戦略を国際社会に認知させたことは外交の大きな成果だ」──外務省が最近、こんなことを強調している。確かに11月、ベトナムを訪問した米国のトランプ大統領が各国首脳を前に、「米国は自由で開かれたインド太平洋というビジョンを共有したい」「地域のすべての国と、友情と貿易の絆を強化したい」と訴え、安倍晋三首相発案とされるこの戦略を世界に発信したのだった。
トランプ大統領のアジア歴訪を前に、米国政府はアジア政策をどう打ち出すか悩んでいた。そこで日本外務省幹部が米国務省の政策企画局幹部に持ちかけたのが「インド太平洋戦略」だ。早速、ティラーソン国務長官がワシントンでの講演で打ち上げ、さらにホワイトハウス高官らがトランプ大統領に説明してベトナムでの講演につながった。
中国と異なる価値観を理解しないトランプ氏
構想の中核は、日米両国とインド、オーストラリアの4カ国が連携して、他のアジア諸国を巻き込み、地域的な連携の枠組みを作るというものだ。各国をつなぐキーワードは、自由主義、民主主義、市場経済、基本的人権の擁護、そして法の支配という「普遍的価値」である。これらの価値を共有し実現することで連携を深め、地域の経済的発展を促進することが目的だが、同時にこの地域で飛躍的に発展を遂げている中国への対抗策という意味も含まれている。
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