米国の原子力事業が元凶となり、巨額の債務超過に陥った東芝。稼ぎ頭だった半導体メモリ事業を売却することで急場をしのぐ予定だが、債務超過を解消できたとしても、前途は険しい。
現経営陣は「新生東芝」として水処理などの公共インフラやエレベーターなどの設備、鉄道システムなどの社会インフラ事業を中核に据える方針を掲げる。だがそれらは国内市場を中心に展開しており、大きな成長は見込みにくいと指摘する声が多い。2015年に発覚した不正会計問題でも明らかになったように、閉鎖的で縦割りになった組織の改善も重要な課題だ。
では東芝を再生し、新たな成長軌道に乗せるためには、具体的にどんな手を打てばいいのか。識者3人に処方箋を聞いた。
ニューホライズン キャピタル会長兼社長 安東泰志
半導体売却の必要なし、銀行主導の再建やめよ

あんどう・やすし●1981年三菱銀行入行。2002年にフェニックス・キャピタルを創業し、三菱自動車の再建などに携わる。06年から現職。(撮影:尾形文繁)
企業再生はスキーム(枠組み)のところでほとんど決まってしまうが、そのときに既存株主と債権者の間に微妙な利益相反が存在する。東芝でいえば、メモリの売却が債権者である銀行のためにはなっていても、株主をはじめとしたステークホルダー(利害関係者)のためになっているのかは判断が難しい。
トピックボードAD
有料会員限定記事
無料会員登録はこちら
ログインはこちら