4月11日。東芝は2度の決算延期を経て、2017年3月期の第3四半期報告書を関東財務局にやっと提出した。が、PwCあらた監査法人は四半期レビュー報告書で「結論の不表明」という異例の表記をした。不表明の理由は米国の原発子会社ウエスチングハウス(WH)への強い疑念である。
今年1月、WH社員から「買収した建設会社の価値算定の過程で経営幹部から不適切な圧力を受けた」とする内部通報があった。対象企業が誠実に決算書を作成しているというのは、監査をするうえでの大前提。そこが揺らげば決算数値を信用できず、監査のしようがなくなる。この監査ガイドラインは日米共通だ。WHの内部通報を受けてPwCあらたは「監査の大前提」が揺らぎかねないと判断。東芝の監査委員会に「圧力」の徹底調査を求めた。
東芝の社外取締役で監査委員会委員長の佐藤良二氏は監査法人トーマツの元CEO。当然、東芝社内に調査を指示した。それでもPwCあらたが「不表明」と表記したのは、彼らが「監査委員会の調査は不十分で、まだ調査を続けるべきだ」と考えているということを意味する。これはWHの建設会社買収をめぐって、東芝が17年3月期の第3四半期以前にさかのぼって損失を計上する必要があるかもしれないということだ。
「監査委員会としては第3四半期以外の期で損失を認識すべき具体的な証拠を発見できなかったと判断しており、一連の調査は完了したものと判断している」。佐藤委員長は4月11日の会見で語気を荒らげた。

不正見逃した新日本に東芝が巨額監査報酬
PwCあらたがここまで強硬なのは、16年3月期まで東芝の監査を担当してきた前任の新日本監査法人の苦渋を見てきたからでもある。
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