半導体メモリ事業は2016年4〜12月期に1022億円の営業利益を計上した東芝の稼ぎ頭だ。NANDフラッシュメモリでは、韓国サムスン電子に次ぐ世界2位のシェアを誇る。今やスマートフォンなどの電子機器に欠かせないうえ、IoT(モノのインターネット)の到来で、ますます重要性が増していくと考えられている。
そんな虎の子を手放さざるをえないほど、東芝は追い込まれている。17年3月期末時点で6200億円の債務超過になる見通しで、それを解消するために「少なくとも2兆円(の価値)はある」(綱川智社長)メモリを分社化し、株式の過半を売却する。
半導体事業を継続するには巨額の投資が必要になる、という事情もある。米調査会社によれば、サムスンは半導体事業だけで16年に113億ドルの設備投資を行った。米インテルが米マイクロン・テクノロジーと共同で「3Dクロスポイント」と呼ばれる新型メモリを開発するなど、新技術をめぐる競争も激しい。財務が傷んだままの東芝ではメモリ事業が競争力を保つことは難しいという判断もある。
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