「今から結果を見て振り返ると、非常に問題な判断だった」。3月29日、米国原子力事業子会社ウエスチングハウス(WH)の連邦破産法11条適用申請で記者会見した東芝の綱川智社長はこう総括した。
今回の危機は経営者の暴走が原因と片付けられてしまいがちだが、経緯をひもといていくと、どの会社にも起こりがちな失敗の教訓が浮かび上がってくる。
失敗1 情報戦で踊らされ予想外の高値買収に
発端は2006年にさかのぼる。東芝は熾烈な入札競争を勝ち抜き、WHを買収した。金額は54億ドル(当時の為替レートで6210億円)と巨額。WHについては「2000億円程度が適正」というのが業界の評価だったが、当時の社長・西田厚聰氏は「原子力事業の成長性を考えれば妥当」と一蹴していた。
今も考えは変わらないのか。4月5日に西田氏を直撃すると、返ってきた答えはこうだった。
「当時、福島の原発事故を予測することができましたか。あの時点では最適な判断だった」
価格が3倍に吊り上がったのには事情があった。1次入札で選ばれた3社が競った2次入札で、2700億円をつけた東芝が勝利した。
この記事は有料会員限定です。
東洋経済オンライン有料会員にご登録いただくと、有料会員限定記事を含むすべての記事と、『週刊東洋経済』電子版をお読みいただけます。
- 有料会員限定記事を含むすべての記事が読める
- 『週刊東洋経済』電子版の最新号とバックナンバーが読み放題
- 有料会員限定メールマガジンをお届け
- 各種イベント・セミナーご優待
無料会員登録はこちら
ログインはこちら