ソニー幹部が語る、2011年度に向けての戦略[下]--平井一夫・執行役EVP
(<上>から続く)
平井一夫執行役EVP(ソニー・コンピュータエンタテインメント社長兼グループCEO)との一問一答は以下のとおり。
--コンテンツ配信サービス「Qriocity」について。
すでにビデオオンデマンドのサービスは欧米でスタートしているが、順次広げていく。その国のローカルコンテンツを積極的に持ってきて、マーケットに特化した内容にして各国で展開していきたい。今後はQriocityで、ソーシャルやコミュニティなど友達の輪を広げるサービスの展開も考えている。
基本的にQriocityは、ソニー商品の魅力を上げるためのサービス、と短期的には考えている。3~5年後に大きくなれば、他社商品にも対応することは否定はしないが、ソニー商品向けサービスというのが基本戦略になる。
--ソニーでは音楽配信も開始したが、アップルの「iTunes」を抜けるのか。
音楽配信サービスにおいて、iTunesのビジネスモデルは確立されており、ローカルのコンテンツも集めたダウンロード型のサービスとなっている。同じモデルを追いかけてはユーザーにアピールできない。
あえて今回は、クラウド上でコンテンツを管理する方式をとった。クラウド上でストリーミングするサービスは初の試みだ。パソコンに入っている音楽を、さまざまなソニーのデバイスで楽しむことができる。切り口の違うサービスを展開するのが差異化になるし、ユーザーメリットもあると考えている。サービスの料金体系は、3.99ユーロと9.99ユーロの2つになる。イギリスとアイルランドでサービスを開始したが、順次広げていきたい。
また、現在はパソコン「VAIO」と「プレイステーション3」、ネットワーク対応の液晶テレビ「ブラビア」、Blu−rayにしか対応していないので、今後は携帯電話やウォークマン、「PSP(プレイステーションポータブル」)などへも広げていく。