「戦いとは、 いつも二手三手先を 考えて行うものだ」──『ガンダム』のファン世代は今、企業のマネジメント層に相当する。彼らにとってシャアのせりふは、仕事にも通ずるものがあるという。
『機動戦士ガンダム』は1979年のテレビ放映開始以来、息長く支持されているアニメだ。魅力の秘密は、架空の宇宙戦争ながら戦時下における人間の心理と関係をリアルに描いた点にある。従来のアニメの類型にはない、多様で独特な性格・気質のキャラクターが絶妙な関係で配置され、物語とともに成長してゆく。人が物語を欲するのは娯楽として楽しめるからだけではなく、キャラに自分を投影したり共感したりできるから。だから『ガンダム』という物語に、世代を超えて大勢が魅せられるのだ。
ファンにとって最も興味が尽きないキャラといえば、間違いなくシャア・アズナブルだ。主人公アムロ・レイのライバルで、赤いモビルスーツ(戦闘用ロボット)に乗り「赤い彗星」と呼ばれる。アムロよりも人格がダイナミックに描写されており、『ガンダム』はシャアの物語といってもよいほどである。
彼の性格の最大の特徴は二面性だ。表面的には華やかで、知的な策士という印象だが、シリーズを通して見ると、実は極めて行き当たりばったりで行動していることがわかる。また強い人間のようでいながら、非常に傷つきやすい面があり、他者への依存心を持つ。アムロに精神的に依存しているようにさえ見える時期もある。
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