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金利競争と一線画す異色の信用組合 トップも朝から取引先回り

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マイナス金利下で多くの地域金融機関が収益確保に苦しむ中、右肩上がりで利益を伸ばしている信用組合が広島にある。地元では「シシンヨー」と呼ばれる広島市信用組合だ。シシンヨーの2016年3月期決算は、本業の儲けを示す実質業務純益が14期連続の増益となる82億円。中国地方5県の金融機関の中でも、広島銀行や中国銀行といった各県トップ地銀らに続き、6位につける高水準だ。

原則3日以内に融資を実施

強さの秘訣はどこにあるのか。「地元の中小零細企業への融資を徹底して極めること。うちの強みはそれに尽きる」。山本明弘理事長は力を込めて語る。実際、メガバンク、地銀から信金・信組まで入り乱れての貸出先の獲得競争が激しさを増す中、シシンヨーの預貸率は84%。預金量の8割超を貸し出しに回すことができており、全国的に5割程度の信組平均を大きく上回っている。しかも貸出金利回りは3%と、多くの信組が2%台にとどまる中で高水準を維持している。

(注)預貸率は、貸出量÷預金量 (出所)広島市信用組合、全国信用組合中央協会

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貸し出しボリュームと利回りの両方を確保できている背景には、まず圧倒的なスピード感がある。融資の決裁は原則3日以内に行っている。通常の金融機関では2週間から1カ月かかることもざらであり、異例の早さだ。この即決ぶりが顧客に評価され、金利競争と一線を画す源になっている。

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