中国にもフィンテックの波は押し寄せている。むしろそのスピードは日本より圧倒的に速い。その勢いに脅威を感じ、既存の金融機関は変革を迫られている。
2016年12月、銀行カード決済の最大手・中国銀聯は2次元バーコード決済に対応すると発表した。これまで自社が主導してきたNFC決済(Near Field Communicationの略、至近距離に対応した無線通信方式)と競合することを覚悟したうえでの決断だった。
背景には、モバイル決済で急伸しているフィンテックサービスの存在がある。アントフィナンシャル(以下アント)の「支付宝(アリペイ)」と、テンセントの「微信支付(ウィーチャットペイ)」だ。中国のインターネット人口は7億人を超えており、9割以上のユーザーがモバイルを経由してアクセスしている。スマートフォンを使いこなすデジタル世代が、消費の主役となりつつある。

14.5億人のユーザーがいるスマホ決済アプリ「アリペイ」は都市部で普及し始めている
アリペイとウィーチャットペイはスーパーやコンビニ、ファストフード店から病院、タクシーの利用、街角の屋台まで、さまざまな生活シーンで利用されている。すでにモバイル決済市場は、アントとテンセントの2社が8割以上を占めている。
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