墓の引っ越し(改葬)は、実家の片付けの最終ステップだ。実家近くの先祖代々の墓をしまい、新たな墓を設けるまでには金銭面や親戚、墓の管理者とのやり取りなどさまざまな苦労があるようだ。3人の改葬経験者の具体事例を紹介する。
case1 墓を開けて判明 眠るご先祖の数
藤田恭治さん(50代・男性)
千葉県房総半島の最南端にある白浜町。夏は海水浴客が集まるこの町も過疎化が進み、夏場でさえ30年ほど前のにぎわいからは程遠い。藤田恭治さん(仮名)が受け継いだ先祖代々の墓は、3カ月前までこの白浜町にあった。
藤田さんの父は白浜町の出身だが東京に移住、藤田さんは生まれも育ちも東京だ。東京から電車とバスを乗り継いで約3時間。小さい丘の斜面の中腹にあるため見晴らしはいいが、階段を上って下りてくるのは一苦労だ。8年前に車いす生活となってからは父は墓参りができなかった。
藤田さん夫妻にも独身の妹にも子どもはいない。ここ数年、藤田さんは、自分が高齢になり墓がある場所まで行けなくなったらどうやって管理すればいいのかと悩んでいた。父からは車いす生活になった頃に、「俺が死んだらご先祖さんも許してくれるだろうから、墓を適当な所に移せ」と言われていた。
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