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変幻自在、表舞台を演出する商社の役回り コンビニ以外でもいろんな業種で火花が散る

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コンビニ業界以外にも、総合商社が「黒子」としてかかわる業界はいくつもある。

現在、商社主導の再編で業界がにわかに活発化しているのが食肉業界だ。今年4月に経営統合した伊藤ハムと米久は、いずれも三菱商事が筆頭株主で、3社間では包括業務提携を締結していた。「三菱が再編を仕掛けるのは時間の問題」(伊藤忠商事の食料部隊)だったが、ついに両社の縁談を取りまとめた。

経営統合で伊藤ハム米久ホールディングス(HD)が誕生し、独立系の日本ハムを追い抜いて、ハム・ソーセージ事業で国内シェアトップに立つ。少子高齢化で国内市場が頭打ちになる中、商社とタッグを組んで、海外の加工工場への投資やアジア市場への進出を図りたいという食肉業界の要望は強い。そして5月には、三井物産が食肉卸主体のスターゼンへの出資を2.5%から16.4%に引き上げ、資本業務提携を締結。三菱商事系の伊藤ハム米久HD、伊藤忠系のプリマハムに対抗する形で系列化が進む。

同じく食品関連では、製油業界で、伊藤忠が不二製油、三菱商事・三井物産がかどや製油の議決権をそれぞれ2割以上保有。役員の派遣も行っており経営上も密接な関係を持つ。ただ、製油、砂糖などの業界は、原料の仕入れや製品の販売など従来型のトレードが中心。こちらは比較的落ち着いている。

(注)HDはホールディングスの略

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独立色が強いエンジ 見切りをつける業界も

一方、資本関係があっても経営の独立色が強いのが、海外でLNG(液化天然ガス)・化学プラントなどの設計・建設を手掛けるエンジニアリング業界だ。

業界2位の千代田化工建設は2000年代初頭、多角化に失敗し深刻な経営危機に陥った。その際、三菱商事からの支援を受け、同社の持ち分法適用会社となった。同3位の東洋エンジニアリングには現在三井物産が22%出資。過去には三井物産の安永竜夫社長が、東洋エンジの経営企画部門に出向した経験があるなど、人的交流も深い。

ただ、系列色は薄く、どちらも経営の独立性は高い。三菱商事が手掛けるプロジェクトに必ず千代田化工が絡むというわけでもない。また、2位、3位には出資できても、日揮という業界のガリバーに手出しできないのは、セブン-イレブンの例と同様だ。

商社が投資に見切りをつける業界もある。携帯電話販売代理店では、3大通信キャリアーの販売店をすべて手掛けるティーガイアが最大手。もともと08年に三井物産系のテレパークと三菱商事・住友商事系のエム・エスコミュニケーションズが対等合併して誕生した。だが、競争の厳しさから、11年に三井物産が、今年4月に三菱商事が持ち株をすべて売却。住友商事だけが筆頭株主として残っている。

ティーガイアのほか、業界2位で丸紅系のMXモバイリング、同3位で伊藤忠系のコネクシオがしのぎを削るが、独立系の光通信が商社系同業の株式を買いあさるなど、今後も再編は続くだろう。

「商社はもともと黒子。目立ちたいとは思っていない。(客先の)信用、評価を得るために必死に努力しているだけ」と三菱商事の垣内威彦社長は強調する。だが、商社の提供する機能、役回りは時代ごとに変化している。国内産業の多くが成熟する中、商社が再編に絡む局面がさらに増える可能性もある。

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