伊藤忠商事の人事・総務部の甲斐元和採用・人材マネジメント室長は「今年(2017年入社)は、三菱商事から内定を取ったがウチに来るという学生が一人、二人ではなく、けっこういた。採用でも2強になった」と話す。
一昔前ならば総合商社の就活人気は三菱と三井物産が圧倒的で、伊藤忠のライバルは丸紅だった。したがって、学生が三菱と伊藤忠の内定を取った場合、迷わず三菱に行くといっても過言ではなかった。
今年、財閥系商社の内定を取ったある大学の学生は、「内定者と話をすると、三菱、三井、伊藤忠を並列的に見ている学生が少なくないと感じた」と話す。商社希望だという早稲田大学の学生は「自分の中では、三菱、伊藤忠、次に三井。伊藤忠が利益トップといっても、いつ何が起こるかわからない。ブランドでは三菱が別格だと思う」と分析している。
一方、複数社が発表する就職人気ランキングの中には、三菱と三井の順位が著しく低下したケースもあった(図表1)。調査は今年2月から4月上旬。この間にあったのが、財閥系2社が資源事業の減損で赤字に転落する業績修正の発表だ。明暗が分かれた業績動向が学生の投票に少なからず影響したのかもしれない。下表で伊藤忠の順位が総じて高いのは、「三菱、三井は高嶺の花。伊藤忠は手の届く存在」と考える学生の票を集めているとも考えられる。
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