【産業天気図・工作機械】受注の伸び続くも円高が価格競争力そぐ。回復足踏み、終始「曇り」に
10年10月~11年3月 | 11年4月~9月 |
2011年9月までの1年間通じて、工作機械業界全体の景況感は「曇り」にとどまりそうだ。中国を中心とした新興国の需要拡大に牽引され、リーマンショックによる落ち込みから右肩上がりの回復を続けてきた工作機械業界。アジアにおける設備投資需要は高水準での推移を続けており、当面の受注動向は現状維持が可能だろう。ただ一方で、円高の持続や国内市場の低迷など不安材料も残る。
足元の受注は好調だ。日本工作機械工業会(日工会)の調査によると、10年1月から11月の累計受注額は前年同期比約2.5倍の8798億円。年間受注額は9500億円前後に到達する見込みで、リーマンショックの影響を受けた09年の4118億円を大幅に上回る公算。
日工会が業界企業を対象に実施したアンケート調査では、11年1月~3月期の受注見通しについて「増加も減少もしない中立状態」と答えた企業が76.8%に上った。仮に現状程度(月800億円台から900億円台)の受注獲得が続けば、11年は年間受注額1兆円の大台回復も十分視野に入る。
ただ、この回復で業界各社の業績も完全に復活するかというと、そうでもない。最大の懸念材料は長引く円高だ。国内の設備投資意欲が盛り上がりを欠くなか、外需拡大は唯一の期待材料。受注額に占める外需比率は約68%(1月~11月累計実績)で、09年の61%から一段と上昇した。