中東発のリスクは「イスラム国」だけではない。終わらない宗派対立と武力衝突、逆流するオイルマネー、激増するシリア難民…。この地の動きは世界を揺るがす。
日本株が急落した昨年8月から9月にかけ、「産油国の投げ売り」が市場の話題となった。原油安に直面した産油国は増産で収入を確保しようとしたが、それがさらなる下落を呼んでしまった。収入不足を金融資産売却で埋めようとして、サウジアラビアなどがパニック的な売りに出たというのだ。楽天証券経済研究所の窪田真之チーフ・ストラテジストは「今年の1月から2月にかけても同じことが起きているようだ」と言う。
深刻化するシリア内戦や「イスラム国」(IS)のテロ、原油価格の暴落、さらにサウジアラビアとイランの対立激化まで、中東発のニュースを見聞きする機会が増えている。中東情勢は「地政学リスク」という言葉とともに、世界経済の波乱要因として強く印象づけられている。
中東に原油調達の8割を依存する日本にとって、この地域が重要なのは当然のことだ。しかし、「イスラム(イスラーム)圏」としてひとくくりにされることが多い中東・北アフリカの国々は、日本と地理的にも文化的にも遠く、事情を理解しにくいのも確かだ。ニュースに登場するさまざまな国や組織の関係性を頭に描くのは簡単なことではない。
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