原油暴落が招く経済の液状化
“逆オイルショック”はどこまで続くのか。世界の市場関係者の視線が、サウジアラビアの出方に向けられている。
2016年に入り、原油相場はWTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)で1バレル=30ドルを割り、2月中旬にはリーマンショック前に記録した08年の過去最高値の5分の1以下の水準である26ドルまで下落。なお反転の材料に乏しい。
原油相場の暴落により米国のエネルギー関連株やジャンク債が売り浴びせられ、世界の株式市場が混乱した。石油収入に依存する産油国の財政状況も火の車となっている。
そんな中で飛び出したのが、それぞれ日量1000万バレル強の原油を生産し、世界の原油生産量のトップ3に入るサウジとロシアが協調減産の検討に入ったという観測だ。
1月28日にロシアのノバク・エネルギー相が「5%の減産の可能性を討議する用意がある」と発言した際には、原油価格は一時35ドルまで上昇した。
歳入の5割超を石油・天然ガスに依存するロシアの財政は厳しい。過去の資源収入の積み立てで、歳入の減少を補填してきた「予備基金」も、30ドル前後の油価が続くと早ければ16~17年までに食い潰す見込みで、緊縮財政が急務だ。仮に両大国が5%の協調減産に踏み切れば需給が日量100万バレル超引き締まり、相場への影響は小さくない。
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