経済では原油暴落、安全保障ではシーア派勢力による包囲網の強化という厳しい状況に直面しているサウジアラビア。この二つの政策課題を一手に担っているのが、まだ30歳のムハンマド・ビン・サルマン副皇太子だ。
この人物には謎が多い。
実父であるサルマン国王が昨年1月に即位するのと合わせ国防相に就き、4月には国内序列3位(王位継承権2位)の副皇太子となった。また石油最高会議などを改組した経済開発問題会議の議長にも就任。副皇太子は、大学卒業後はリヤド州知事顧問、皇太子府長官などを務め、ずっと父親の下で働いてきた。安全保障や経済政策の手腕がまったくの未知数である若者が重職に起用されたことには国内外で驚きが広がった。

サルマン国王(左)による副皇太子起用は驚きを持って迎えられた(AP/アフロ)
サウジの王族は米英の大学に留学することが多い。ところが、ムハンマド副皇太子は国内のキングサウド大学卒で、腹違いの兄弟と異なる。英語はあまり話さないうえ、アラビア語も外国人には聞き取りが難しいほどなまりが強いという。
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