テレビ、新聞、雑誌、ネットでシリア戦争や「イスラム国」(IS)によるテロが連日報道される。いずれもイスラム世界と関連がある。解説記事も飛躍的に増えた。イスラム教の2大宗派であるスンニ派とシーア派の名前もしばしば聞くようになった。
トインビーの仮説で 中東を俯瞰する
本稿ではイスラム世界を観察する際、「二つのイスラム文明」という仮説を紹介したい。視点は宗派間対立ではなく文明の形態による差違である。
この仮説の提唱者は英国の歴史家アーノルド・トインビーである。著書『歴史の研究 第2巻』(邦訳は1966年刊)で、トインビーは外部からは一つに見えるイスラム世界を二つの文明圏に分類する。アラビア文明圏とイラン(ペルシャ)文明圏である。
イスラム世界に文明形態の差違という「補助線」を引くことで地政学、歴史、国際紛争への認識が深まるというのがトインビーの主張だ。
その土台には、イラン、イラク、インド、パキスタン、エジプトなどを植民地・半植民地にしてきた英国の、地域研究の蓄積がある。
この記事は有料会員限定です。
ログイン(会員の方はこちら)
有料会員登録
東洋経済オンライン有料会員にご登録頂くと、週刊東洋経済のバックナンバーやオリジナル記事などが読み放題でご利用頂けます。
- 週刊東洋経済のバックナンバー(PDF版)約1,000冊が読み放題
- 東洋経済のオリジナル記事1,000本以上が読み放題
- おすすめ情報をメルマガでお届け
- 限定セミナーにご招待
トピックボードAD
有料会員限定記事
無料会員登録はこちら
ログインはこちら