原油価格の下落を受け、湾岸産油国は財政赤字を補填するために政府系ファンド(SWF)の資金を取り崩し始めている。現在の状況が長引けばSWFの資産が減少するのは避けがたいが、一方で中東には富の蓄積を着実に増やす富豪たちが存在する。
米『フォーブス』誌の調査によれば、2015年の中東の上位100人の富豪が持つ資産は合計で約1744億ドルに達している。これは前年と比べて83億ドルの増加である。
この超富裕層100人のうち56人は資産総額が過去最高を記録している。トップにランクされているのが、サウジアラビアのアルワリード・ビン・タラールだ。その資産は226億ドルに達している。ブルームバーグの調査では、16年1月末の時点で彼の資産は242億ドルに増えた。

バフェットと呼ばれる王子サウジ王族のアルワリード氏は3万ドルを元手に世界有数の投資家としての地位を築いた(ロイター/アフロ)
アルワリードはサルマン国王のおいに当たり「王子」の称号を持つが、王族としての手当は年1.5万ドルにとどまる。そして、彼の資産は石油収入によってもたらされたものでもない。事業の元手は、大学を卒業したときに父親から受け取った3万ドルだった。そこから世界有数の投資家の地位を築き上げたのである。
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