道路脇に立ち並ぶ戸建ての住居群やオフィスの廃屋。工場から漏れ出る、鼻を突く石油のにおい──。
米中間層の雇用を支えた製造業の中心地であり、ラストベルト(旧重工業地帯)として繁栄を謳歌した中西部オハイオ州トレド市は、今も景気回復から取り残されたままだ。閑散としたダウンタウンの通りは廃屋やシャッター通りが散見される。エリー湖沿いに車で北上するとミシガン州デトロイトに着くが、いずれも米自動車産業の衰退による凋落から抜け出せていない。
トレドには米クライスラー(現在は多国籍企業、フィアット・クライスラー・オートモービルズの一部)の「ジープ」の工場があるが、一部移転の計画が報じられている。「何年も前にレイオフされ、今も仕事が見つからず、ホームレスになった人もいる。僕自身、景気回復なんて実感できない」。市内で零細企業を経営するアフリカ系米国人の男性(40)は肩を落とす。
大不況で最高12・2%を記録した失業率は4.3%(2015年10月)に下がったが、09~13年の平均貧困率は27.2%と、全米平均より12ポイントも高い。平均世帯収入も3万3317ドルと、全米平均を2万ドル超下回る。デトロイトはもっと深刻だ。貧困率は39.3%。平均世帯収入は2万6325ドルにすぎない。
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