2015年の欧州は、ギリシャ危機、難民危機、独フォルクスワーゲンの排ガス不正問題の発覚、パリのテロなど相次ぐショックに襲われた。中国や新興国の経済減速という逆風もあった。
それでも景気の回復は途切れていない。ユーロ圏の実質GDP(国内総生産)成長率の予測は15年1.5%増、16年1.7~1.8%増に集中する。緩やかな回復持続が官民のコンセンサスだ。
ECB(欧州中央銀行)の金融政策はユーロ圏経済の内外のショックへの耐性を高めるうえで大きな役割を果たしており、今後もそうした役割を果たさざるをえないだろう。政策金利は、12年7月の利下げを最後に、民間銀行が中央銀行に預金する際の金利(中銀預金金利)はゼロで据え置いていたが、14年6月にマイナス0.1%に、同年9月にマイナス0.2%、さらに15年12月にマイナス0.3%まで引き下げた。
資産買い入れによる量的緩和もカバードボンド(債権担保付き社債)、ABS(資産担保証券)から着手、15年3月に「国債等を含めて月600億ユーロの買い入れを16年9月末または2%以下でその近辺という中期物価目標の達成が見通せるまで」継続する約束をした。15年12月の政策理事会で、月600億ユーロの買い入れ期限を17年3月に延長し、対象に地方債を含めること、償還資金は再投資を行うことを決めた。
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