

パリの同時多発テロには、発生当初からひどい違和感を覚え続けてきた。そもそも、狙われた場所はフランスの権力や権威の中枢ではない。普通の市民が集い、夕べのひとときを楽しんでいるところで鋭を乱射したことの残虐性への疑問が、頭から離れなかった。そして自称「イスラム国(IS)」が出したという「犯行声明」が、この疑問に追い打ちをかけた。
そこには、フランスの大統領であるオランドに敵意をむき出しにする言葉もフランス市民を嘲弄する言葉もなかった。あれだけフランス国民を恐怖に陥れていて、それはなぜなのか?
「犯行声明」はフランスに向けたものというよりムスリム(イスラム教徒)への挑戦状だった。コーランの聖句をちりばめ、不道徳なフランスを破壊し恐怖を与えたことを述べているが、フランスをはじめ、欧米諸国に暮らすムスリムに向けた文書と考えないとつじつまが合わない。
特に「犯行声明」の最後についているコーランの63章「偽信者」の一節は、「およそ名誉、力と栄光はアッラー(唯一絶対の神)と使徒と信徒に帰するのであって、『偽信者』にはそれはわからない」というものである。
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