フランスの経済学者トマ・ピケティ氏は所得格差をめぐる鮮やかな問題提起で注目され、その著作『21世紀の資本』は2014年から15年にかけて世界的なブームを引き起こした。英国オックスフォード大学フェローのアンソニー・アトキンソン氏は、ピケティ氏が師と仰ぐ不平等研究の先駆者だ。彼は今世界、そして日本の格差問題をどのように見ているのか。
経済的不平等の現状に関する懸念は世界中で共通のものだ。近年は豊かな国と貧しい国との差が縮まり、世界全体として見れば1日に1.90ドル(約230円)以下で暮らす極貧層の数は目覚ましく減った。
ただ、不平等は多くの国で生じており、豊かな国にも貧困が依然として存在している。これを受けて米国のオバマ大統領は不平等の問題を「現代における明確なチャレンジ」と呼んだ。同様に、IMF(国際通貨基金)のクリスティーヌ・ラガルド専務理事も「不平等は世界の経済的システムの安定性を脅かすものだ」と述べた。そして国連のメンバーは15年9月に、貧困と不平等の問題を強調した「持続可能な開発のための2030アジェンダ」に署名した。
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