【産業天気図・建設業】国内は案件小粒化で採算低下、終始「雨」続く。中期打開策は海外か

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 さらに警戒すべきは、こういった低採算物件の入札に参加している建設業者が経営体力のないところではなく、逆に財務面で健全性が高い体力のあるところが多いという事実だ。利益剰余金が少なく金融機関に運転資金を借りながら経営している企業は、赤字採算に陥る懸念の強い低入札案件には手を出せない。

逆に、多少の赤字採算工事が出ても、それを吸収できる余裕のあるところが、「次の大型土木工事につなげようと果敢に低価格で小さな案件に攻めこんでいる」(中堅ゼネコン幹部)。大手中心に、受注量は復調するものの採算は一向に改善しないという”利益なき繁忙”に陥る懸念がある。

国内市場が厳しいだけに、業界主要各社は海外にも力を入れている。海外受注額を年間1000億円程度の水準に戻す方針を各社とも打ち出している。ターゲットとしては土木であれば政府開発援助(ODA)や、政府系金融機関が出資するインフラ整備といった案件が中心。建築であれば、インドシナを中心にASEAN(東南アジア諸国連合)で高層ビルやコンドミニアム、日系工場の受注を手堅く増やしていく考えだ。

海外については直近、大手が北アフリカや中東・ドバイの案件で工事損失を計上するリスクを抱えたが、こういった「勉強代」をムダにしないよう、各社は海外での収益管理や法務リスクを減らすための仕組みの構築に懸命。外国人を含めた若手社員の育成に乗り出しており、来期以降はこうした海外要員の活用で海外受注拡大を目指すことになる。
(古庄 英一=東洋経済オンライン)

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