今や労働者の3分の1を占めるまでに膨らんだ非正規。企業が“調整弁”として都合よく使ってきたツケは社会全体に跳ね返る。このままでよいのか。日本の歪みをあぶり出す。
フリーターを抜け出せない
ルポ 氷河期世代の残酷な現実
「本当は正社員として働きたかった。安定した生活が保障された中で、自分の人生を設計したかったです。振り落とされないように必死になって、社会にしがみついている状態です」
兵庫県に住むAさん(42)は就職氷河期世代。正社員として就職したものの家庭の事情から非正規労働者になり、その後、職を転々。今はセールなどで掘り出し物を見つけてはネットオークションで売りさばき、生計を立てている。
大手流通企業の正社員だったAさんの人生設計が狂い出したのは1996年、23歳のとき。母親の面倒を見るために兵庫に帰郷し、派遣会社社員として大手メーカーの系列会社で働き出した。
「怖いのは親が死ぬこと 人生をやり直したい」
繰り返される雇い止め ブラック企業から誘い
最初の派遣先は半年ごとの更新だったが、わずか1年で雇い止め。Aさんは実家を離れて近隣県に「出稼ぎ派遣」に行く。仕事の内容はガラス工場のオペレーターだった。ここでも3カ月で雇い止めに遭い、実家へ出戻り。近所の食品工場の契約社員になった。それも2年後に過労で辞職。しばらく休養した後、別の派遣会社に登録し、再び大手メーカー系列の会社で仕事をした。
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