
上場を控える日本郵政。多くの非正規が待遇改善を求める(撮影:今井康一)
「お父さんみたいな非正規じゃない、正社員になる!」
いつもの家族だんらんの最中だった。神戸市の郵便配達員、三原浩二さん(54)が高校を卒業したばかりの長男に「将来の夢は何や?」と尋ねたときに返ってきた言葉である。
以前は日本郵政公社(当時)の外部委託先で働いていたが、人員や経費の削減が進む中、やむをえず、同公社の期間雇用社員へと転職した。雇用更新を繰り返し、今年で勤続10年。主に速達や書留など重要な郵便物を配る「混合区」を担当し、今春には新卒の正社員の教育係も任された。しかし、年収は約280万円。正社員の半分以下である。
5人の子どもがいる三原さんは、生活保護を受けながら働いている。数年前に病気で入院したときに無給状態となり、困り果てて申請したことがきっかけだ。復職後もケースワーカーのアドバイスに従い、国が定めた最低生活費の基準に足りない分として月十数万円を受け取っている。
「僕の給料では家族に最低限の生活もさせられんということです」
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