日中がデッドヒートを演じたインドネシアの高速鉄道商戦は中国の勝利に終わった。日本では敗因を中国の強引さに求める報道が多いが、実状は。
中両国が受注を競ってきたインドネシアの高速鉄道計画は、最終的に日本が脱落、中国勢の受注が濃厚になった。日本国内では「中国が資金力に物を言わせ、採算度外視で受注した」といったイメージが強い。確かにそういう側面はあるが、中国政府の今回の行動を観察していると、価格の安さが受注の中心的な理由ではない。「中国の横暴さ」だけ極端にクローズアップすると、事の本質を見誤るおそれがある。
最近、同高速鉄道に関する中国の報道で頻繁に出てくる単語がPPP(官民パートナーシップ Public-Private Partnership)だ。一般には、小さな政府を志向し、可能なものはできるかぎり民間に委ね、民間の資金やノウハウを活用して社会資本を整備する手法を指す。社会主義国の中国で官民協力というのも妙な話だが、国有企業中心の体制を改革し、市場化の推進でさらなる経済成長を目指す中国では、PPPは「公私合作関係」などと訳され、一種の流行語にもなっている。
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