リーマンショック以来の新興国ブームは終わった。一方で、米国が利上げに耐えるほど強いのかも疑問。世界経済の矛盾が深刻化する中、為替激動のマグマがたまっている。
6月の上海株急落で始まったチャイナショックは金融市場の激動にとどまらなかった。巻き込まれたのは新興国、資源国だ。
中国経済の減速自体はみな認識していたが、政府が制御可能な範囲だとの見方が一般的だった。ところが、当局が強引に介入したにもかかわらず株価下落が止まらなかったことで海外投資家のパニックが始まった。
米国の利上げ開始に身構えていた市場は敏感に反応。多くの国に余波が及んだ。直近でも、対中輸出が多い台湾、産油国のノルウェーなどが利下げに踏み切っている。
「リーマンショック以降の、新興国が経済成長を主導した時代は終わった。通貨が経済の実態と釣り合っているのかが問われ、結果としてドルが買われている」(第一生命経済研究所の熊野英生氏)
今のドルの強さは、実質実効為替レートで一目瞭然だ(図1)。これはほかのすべての通貨との2国間レートを、インフレ率を調整したうえで貿易額などで見た重要度を考慮に入れて平均し、指数化したもの。ドルと、ドルに8月まで実質的に連動してきた中国の人民元のレートが急角度で上昇している。
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