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“爆買い"はいつまで続くか 円高なら韓国やタイにシフトも

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ラオックスに限らず、東京・銀座を訪れる訪日観光客は中国人が多い

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東京・銀座の目抜き通りは最近、大型免税店ラオックスの紙袋やスーツケースを持った中国人観光客であふれている。炊飯器をはじめとする家電製品、化粧品やサプリメントなどを求め、店に大挙して押し寄せるのだ。

[図1]
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今年2015年1~8月の訪日中国人数は334万7000人と前年同期の2倍以上を記録。早くも14年の合計を超えた(図1)。また観光庁によれば、中国人の1人当たり旅行支出は約28.5万円と、全国籍平均の17.7万円を大きく上回る。

個人所得が増え、国外旅行をする中国人は増えている。対日感情の改善や、日本政府によるビザ発給要件の緩和も追い風となった。

訪日客が劇的に増えた要因の1つが、円安だ。13年以降、日本銀行の大規模金融緩和により対ドルで円安が大幅に進み、ドルとの連動性が高い人民元に対しても割安になった。“爆買い”対象の1つ、化粧品大手のコーセーが手掛ける「雪肌精」は、円安により中国の現地価格よりも2割程度安くなったという。

[図2]
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中国人の3大旅行先は、香港やマカオを除くと、韓国、タイ、そして日本だ。ニッセイ基礎研究所の三尾幸吉郎・上席研究員の分析によれば、対人民元の円レートをウォンやバーツと比較すると、14年の後半から円の安さが際立つようになった(図2)。

3年前には100円を購入するのに8元前後が必要だったが、今年に入ってからは5元ほどにまで下がってきた。「近隣国でどこに行くかを考える際、最も重要な決定要因が為替レートだろう」と三尾氏は指摘する。

元の切り下げは訪日熱冷やすか

今年8月、中国政府が人民元レートを切り下げ、元安円高が進んだ。もっとも、100円の購入に必要なのは切り下げ後で5.3元前後。変動幅は小さい。ただ三尾氏は「1割以上の円高、100円当たり6.2元を超えることになれば、韓国やタイへシフトしかねない。訪日客の伸びが鈍化することもありうる」と指摘する。

みずほ証券は、対元での1%の円高は訪日客数を0.6%、1人当たり消費を0.8%押し下げると試算。カメラ・時計、化粧品、洋服・靴といった買い物代や、往復航空運賃は元円レートと相関が高い。

一方で「日本に来る中国人が重視するものは、価格よりも安全と安心」と話すのは、訪日客の消費動向に詳しい中国市場戦略研究所の徐向東代表だ。日本のドラッグストアでの中国人向け売れ筋は、高級な化粧品から、シャンプーやおむつ、歯ブラシといった日用品に変化しているという。「日本製品に求めるのは体に日々触れるものの信頼性だ」(徐氏)。

中国人の意思決定に大きく影響するのが、口コミ。「日本旅行を体験した人が増え、口コミ効果はますます波及する」と徐氏は楽観的に見る。

売れ筋が日用品へと移り変わっていることを考えると、中国との価格差に着目して訪日する動きは一巡したかもしれない。もう一段の円安にならないかぎりは、「高額品が安いから買う」というたぐいの爆買いは起こりづらいといえる。

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