2015年5月、かねてから提携関係にあった独メーカーと経営統合し、工作機械メーカーとして世界トップに躍り出たDMG森精機。事業のグローバル化が急速に進む同社の森雅彦社長に、独特の“為替観”を聞いた。
大学卒業後、伊藤忠商事に入社したのがプラザ合意のあった1985年。ドイツから繊維機械を輸入する仕事で、マルク(当時の西独通貨)を見ることから始まった。今年で社会人生活30年になるが、為替との付き合いはもう体にしみ付いている。上がったり下がったり、天気みたいなもの。農業と同じで、天気に文句を言っても仕方がないので、その中で可能な“作物”を作っていく。
商品に正当な価格競争力がある為替水準かどうかに目を配る。ウォンが安かった頃は、韓国メーカーが随分値下げした。われわれも為替の変動を価格に反映させることはあるが、あくまで緩やかにやる。工作機械は10年かけて償却するような生産設備であり、お客さんも長い目で見る。なるべく価格は安定させたい。
円高時にはドル建ての価格を上げ、円安になれば多めに儲けさせてもらう。営業利益率で5~10%が出ているかどうかをセルフチェックしながら、レートを見ている。
1ドル=120円であれば十分に採算が取れる。日本での生産分の7割は輸出なので、価格を安定させるためにも、入金が見込まれる金額の1年分くらいは為替予約をすべきだろう。今は、16年2月までの入金分はある程度ヘッジできている。
ユーロは円に対して高いほうが円換算時に連結収益が膨らむので、今の1ユーロ=135~140円は快適。ただ15年に統合した独メーカーは欧州域内の販売が主で、入金の7割がユーロ。あまり気にしていない。
予約の意思決定は私と(経理財務担当の)近藤達生副社長の責任でやっている。過去のチャート程度の根拠で、現場の社員に会社のおカネでばくちをされても困る。われわれが綿密な入金計画や価格競争力を考え、実需に基づいた予約を行う。
長期的に見れば、為替レートは国力や生産性、人件費に沿って決まるだろう。その意味で、今のドルは高すぎる。たとえば人件費。同じ能力の社員を日本、米国、ドイツ、中国などで比べると、今の米国人は高い。逆に1ドル=70円のときは安すぎた。適切なのは100円くらい。どの国でも社員が給料をもらって、その人が消費者になって経済を回すわけだから、大事な考え方だと思う。
最後は世界が一物一価 アジアにも統一通貨を
最終的には1ドル=1ユーロ=100円、世界中一物一価にもなりうる。皆がそれなりの生活を送るべき。テロが起こって、難民が出るのは、結局貧困や不平等から来る話。物価や賃金が安いからという理由で、国単位でまとめて安く使い倒すビジネスはもう終わりだ。
米州、欧州、そしてアジアのGDPはそれぞれ拮抗している。ドルやユーロのように、アジアにも統一通貨があるべき。日本人は枠組みを作るのが下手だから、中華圏から何かが生まれるかもしれない。























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