幻冬舎のMBOを謎のファンドが揺さぶり株価騰勢、28日まで続く神経戦

幻冬舎のMBOを謎のファンドが揺さぶり株価騰勢、28日まで続く神経戦

幻冬舎の株価騰勢が止まらない。12月17日は一時27万5000円の高値をつけ、終値は27万3000円で引けた(16日終値比7800円高)。

背景には幻冬舎側の誤算がある。幻冬舎の見城徹社長が代表を務める特別目的会社(SPC)のTKホールディングスは、幻冬舎に対するTOB(株式公開買い付け)で12月14日までを期限として全株を取得して上場廃止とする、いわゆるMBO(マネジメントバイアウト=経営陣による企業買収)を進めていた。TOB価格は22万円だった。

ところが、投資ファンドのイザベル・リミテッド(ケイマン諸島)が市場から幻冬舎株を買い集め、9日時点で議決権ベースの32%超(8996株)まで買い進めたことが明らかになった(大量保有報告書で判明)。イザベルの平均買いコストは1株23万円弱と当初のTOB価格よりも高い。このため、TKホールディングスはTOB価格を24万8300円まで引き上げ、買い付け期間も28日まで延長したのだ。

イザベル・リミテッドについて兜町関係者は「ファンドとしては全くの新顔。幻冬舎を買うためだけに設立されたファンド」と見ている。新しいTOB価格でイザベルが応じれば約1.6億円の売却益を手にできる。20億円強を投じ、わずか1カ月超で1.6億円の売却益ならば成功と言えるが、兜町ではそう見ていない。「TOBに応じず、さらなる価格のつり上げを迫るのではないか」(機関投資家)というのだ。そうした臆測が、株価の騰勢につながっているのだろう。

TK側としてはTOB価格の再引き上げにそう簡単に応じるわけにはいかない。「イザベルに大株主になってもらえばいい」(幻冬舎関係者)という声も漏れてくる。

TOB期間の12月28日まで、お互い神経戦の日々が続く。

(田北 浩章 撮影:今井康一 =東洋経済オンライン)

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