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「もしも」の時に使える制度は? 知っておきたい医療負担 防止マニュアル[5] 病気に備える

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(イラスト:三澤祐子)

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「悪いがこの書面にサインしてほしい」──。6年前、上咽頭がんの治療で入院中の坂本裕明さん(49)の元に会社の上司が突然現れた。上司は無表情で退職勧奨同意書を突き付けると、「退職しないと傷病手当金は支払えない」と言って、ペンを手渡した。

忘れもしない入院9日目。抗がん剤の副作用はピークで、気分は優れない。退職したくはなかったが、治療費に対する不安もあり、言われるがままにサインした。「在職中でも傷病手当金がもらえると知っていたら応じなかったのに」と悔やむ。

坂本さんを襲った上咽頭がんは、罹患(りかん)率が100万人に3人という希少ながんだ。医療機器メーカーの店舗責任者として仕事をバリバリとこなしていたとき、突然片耳が聞こえなくなる。病院でのMRI(磁気共鳴断層撮影)検査の結果、鼻腔の奥に大きな腫瘍(しゅよう)が見つかる。

がんの進行度は「ステージ3」。抗がん剤と放射線治療のため約4カ月入院。医療費の自己負担額は、通院費を含め1年間で160万円に上った。医療保険のがん特約からの給付金と傷病手当金は受け取れたが、仕事は失った。

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