生活に困窮する“下流老人”の増加が止まらない。生活保護を受給している世帯数は今年3月時点で162万と過去最多を更新。その半数近くを占め、右肩上がりで伸び続けているのが高齢者世帯だ(図表1)。
それだけではない。2012年の65歳以上の相対的貧困率(等価可処分所得が全体の中央値の半分に満たない人の割合)は、一人暮らしの男性で29.3%、女性では44.6%に及ぶ(阿部彩「相対的貧困率の動向:2006、2009、2012年」貧困統計ホームページ)。相対的貧困率では現預金や不動産などの資産が考慮されていないが、単純化すれば一人暮らし高齢男性の約3人に1人、同女性の約2人に1人が貧困状態に陥っているのだ。
誰もが抱える貧困のリスク
貯金1000万円でも生活困窮に陥る可能性
なぜ高齢者が厳しい状況に追い込まれているのか。
最大の原因は収入の少なさだ。60歳以上無職世帯(単身世帯を含む)の1カ月の生活費は平均20.7万円(図表2)。それに対して年金をはじめとした実収入から社会保険料などを引いた可処分所得は14.8万円。つまり月6万円の赤字になっている。
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