医療費抑制のターゲットとして矛先が向けられてきた医薬品。近年、医薬品メーカーはいっそう厳しい状況に置かれている。
グローバルで稼ぐ医薬品メーカーにとって、従来の最大の脅威は、米国市場における新薬の特許切れだった。米国では特許が切れると、あっという間に市場の8~9割が後発薬に置き換わり、これまでの売り上げや利益がほぼ消失する。特に1000億円以上を売り上げるような大型薬の特許切れは、パテントクリフと呼ばれる業績の崖をもたらす。
国内製薬大手は2010年前後に相次いで米国で主力品の特許切れを迎えた。最も大きな崖を経験したのは武田薬品工業だ。1996年に米国特許が失効した前立腺がん薬「リュープリン」と並んで黄金時代を支えた消化性潰瘍薬「タケプロン」、高血圧症薬「ブロプレス」、糖尿病薬「アクトス」の3製品の特許切れで、08年度のピーク時から約6000億円の売り上げが吹き飛んだ。
大塚ホールディングスは15年、第一三共は16年、米国内売上高1000億円超の製品の特許切れに直面する(図表1)。このリスクに備えるべく、発売から特許失効までの約10年間で売り上げを最大化させ、開発コストを回収することが至上命題だ。
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