2000年ごろから本格的に上市された分子標的薬。がん細胞などの表面にあるタンパク質や遺伝子(標的)を効率よく攻撃する。がん細胞を活性化させる酵素に分子標的薬をうまく結合させ、がん細胞の働きを抑制する仕組みだ(図表1)。
既存のがん治療薬はがん細胞以外の健康な細胞にも影響を与え、副作用も重いものがあった。だが、がん細胞が増殖・転移する物質を探し、それを効率的にたたけば、がん細胞も死滅・抑制できるのではないかと考え作られたのが分子標的薬だ。
すでに「ゲフィチニブ」(製品名イレッサ、肺がん)や「ベバシズマブ」(製品名アバスチン、大腸がんなど)といった分子標的薬が投与され、効果が得られている(図表2)。さらに創薬技術の進展で、新世代とも呼ばれる分子標的薬が認可・発売され、患者への投与が本格化している。
その代表例が、14年4月に発売、乳がん患者に投与されている中外製薬の「トラスツズマブ エムタンシン」(T-DM1、製品名カドサイラ)だ。
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