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漢方薬の危機 保険適用除外の議論が再燃

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医療現場で日常的に用いられている漢方薬が、保険適用除外の検討対象になっている(撮影:梅谷秀司)

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近年、西洋薬だけでは治しきれない病気や、西洋薬の投与によって起きる副作用の存在から、漢方薬の有効性が注目を集めている。

東京・港区にある芝大門いまづクリニックは、西洋医学と漢方医学の融合を標榜している。来院者の中でも目立つのは、がんの手術後の体調不良や、抗がん剤治療や放射線治療の副作用に苦しむ患者だ。

「がんの外科治療や抗がん剤治療は攻めの治療だが、攻めだけでは患者さんの体は衰弱し、生活の質が保たれなくなるリスクがある。そこで守りの治療として漢方薬を併用することで、副作用の軽減や、術後の体力回復を促進させることが可能になる」と、院長の今津嘉宏医師は語る。

今津医師はかつて、大腸がんの手術を受けた患者の術後の入院日数が、漢方薬「大建中湯」の投与の有無によって違いが出るかを調べたことがある(図表1)。その結果、投与群のほうが快復が早く進み、平均で開腹手術では1.9日、腹腔(ふくくう)鏡下手術では4.3日も入院日数が短縮されることが明らかになった。これによって約14万円の医療費削減効果があることも確認された。

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