「新法の施行で再生細胞製品が法的に認められ、免疫細胞療法も医療システムの中に組み込まれる」とバイオベンチャー・メディネットの木村佳司会長兼社長の言葉に期待がにじむ。「日本を再生医療の拠点にしたいと考えている」と経済産業省の西村秀隆生物化学産業課長も言う。
日本の再生医療の学術レベルは高い。2012年にノーベル生理学・医学賞を受賞した山中伸弥京都大学教授の出現を待つまでもなく、世界の最先端だ。にもかかわらず、事業化では他国に後れを取ってきた。12年時点で海外の再生医療製品は、欧米で20超、韓国でも14承認されている。ところが日本はたった2品目。その状況は今も変わらない。
がんの免疫細胞療法では、メディネットが1999年、テラも05年から自由診療ながら治療を開始しているし、アンジェス MGは07年に遺伝子治療薬の臨床第3相を終了した。にもかかわらず、免疫細胞療法は10年にFDA(米国食品医薬品局)が前立腺がん治療ワクチンを承認、遺伝子治療薬は12年にEU(欧州連合)で特殊な高脂血症の治療薬が承認と、いずれも「世界初」を逃した。仕組みがないなりに柔軟に対応できる欧米と日本との当局の差は、新薬に対する受け入れ姿勢の違いとみられる。
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