第一生命、戦後初めてニッセイを抜く 上場を機に積極策に。窓販専門会社が奏功。

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海外企業買収も奏功

ただ、銀行窓販事業だけで、第一生命が優勢と見なすのは早い。上期は円安が急激に進んだことで、銀行窓販経由の外貨建て保険が伸びたが、今後は円安余地が小さくなるとみられる。実際、10月に入って外貨建て保険の実績は上期に比べやや落ちており、第一生命も下期については慎重な見方を示している。

また、銀行の窓口で売られるのは、大半が加入時に多額の保険料を払い込む一時払い商品。こうした貯蓄性保険は、死亡保険や第3分野など保障性保険に比べ、収益性が低い。実際、保険会社の実力値を示す、過去の契約の積み上げである保有契約や、保険本業の収益力を示す基礎利益では、日生が依然優位にある。

とはいえ、日生も安穏としてはいられない。保有契約や基礎利益についても、第一生命が海外事業の急拡大をテコに迫ってきているからだ。

12年に子会社化した豪TALは、約90億円の純益貢献をするまでに成長。今年6月には5800億円を投じて、米中堅生命保険会社プロテクティブを買収した。

プロテクティブは他社契約を買収するユニークな手法で業績を伸ばしており、1~9月期の収益は2ケタ成長を記録。13年通期では円安効果もあって、700億円近い税引き前利益になりそうだ。

10年4月の上場を機に、成長路線へ大きく舵を切った第一生命。首位奪取は、無風地帯といわれ続けてきた生保業界に、変化の風が吹き始めたことを表している。

(「週刊東洋経済」2014年12月13日号<8日発売>「核心レポート05」を転載)

大西 富士男 東洋経済 記者

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おおにし ふじお / Fujio Onishi

医薬品業界を担当。自動車メーカーを経て、1990年東洋経済新報社入社。『会社四季報』『週刊東洋経済』編集部、ゼネコン、自動車、保険、繊維、商社、石油エネルギーなどの業界担当を歴任。

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