財政健全化の道筋付けに奮闘した野田政権
評者 BNPパリバ証券経済調査本部長 河野龍太郎
基地問題で沖縄を翻弄した鳩山由紀夫首相、震災の原発事故で混乱を増幅した菅直人首相。民主党政権期を混乱の3年と記憶する人も多いだろう。だが、社会保障と税の一体改革を成立させ、財政健全化に道筋を付けようと奮闘した野田佳彦政権は保守政権として再評価されるべきではないか。この2年、評者はそうした思いを抱いてきた。
本書は、1993年以降、日本新党を皮切りに、新進党、国民の声、民主党に参加し、野田政権で官房長官を務め、2012年末の衆院選後、政界から引退した保守派政治家の20年をオーラルヒストリーで追ったものだ。気鋭の政治学者の問いかけに藤村修氏が答え、野田政権の政策決定過程や民主党の問題点、外部から見えづらい国会運営の実態をあぶり出す。
まず鳩山、菅内閣が旧民主党メンバーを中心とするリベラル色の強い内閣だったのに対し、野田内閣が民主党保守派による内閣だったことが証言から改めて確認される。自民党野田派と党内から揶揄されたが、この批判は、実は核心を突いていた。
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