日本再建イニシアティブ●一般財団法人。福島での原子力発電所事故の原因究明をテーマとして、2011年9月に設立された独立系シンクタンク。その後、各種の国家的課題について研究、提言を続けている。報告書は英語でも発表し、国の内外で課題に取り組むことを鮮明にしている。
高齢化率3割以下、人口8000万を目指す
評者BNPパリバ証券経済調査本部 長河野龍太郎
アベノミクスの目玉の一つである地方創生では、東京一極集中が人口減の元凶とされていた。しかし、5年後には東京都区部も人口減に転じる。早晩、地方で急激に進む高齢化と人口減が東京で始まるのだ。東京を弱めても問題の解決にはならない。では日本最大の危機である人口減にどう対応すべきか。本書は前日本銀行総裁、元財務事務次官ら賢人が集まり、100年後も経済活力を維持するための包括的な政策を提言する。
放置すれば今世紀末に40%の高齢化率の下で人口は5000万人へ減少する。人口減が低成長の原因となり、マイナス成長の定着で生活インフラの更新も困難になる。ただ人口政策は懐妊期間が長く、安倍政権が掲げる50年後の1億人維持は現実的ではない。とはいえ、ある程度の人口維持も必要だ。本書では人口減を緩和しつつ、同時に人口減に適応する二正面作戦によって、高齢化率を3割以下に抑え、8000万人を目指す。極めて重要な視点である。
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